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眼科ケアな人たち   ****

眼科領域の医療・看護専門誌
眼科ケア 2012年第14巻8号 メディカ出版

眼科ケアな人たち
目のケア・視覚のサポートに携わるさまざまな人を紹介します。
ロービジョン者の誘導システム開発担当者

ロービジョン者の誘導システム開発担当者

篠原電機株式会社
事業推進室 兼崎暁美さん
日本で初めて「高齢者・視覚障がい者用LED付音響装置」が試験設置された、大阪市鶴見区鶴見警察署前交差点にて「高齢者・視覚障がい者用LED付音響装置」と一緒に写真掲載
「そういえば、一緒に写真撮ったことないわ」とにっこり。

高齢者・視覚障がい者用LED付音響装置
横断歩道を渡る手前に設置することで、渡った側の高い位置にある歩行者信号機が見にくい方(弱視者、高齢者、小さい子供)には目の前で確認して安心して渡れる補助装置です。高さ1163mmの白のゴム製のポールに赤・青のLED信号灯と押ボタンスイッチ、反対側にはスピーカーが付いています。赤・青のLED信号灯は目線より低い位置に付いているため見やすく、またスピーカーも1mの位置に付いているので耳元に近いので、現行の3.3mより聞き取り易くなっています。押ボタンスイッチは音響信号の停止時間に押すと音声が鳴ります。また青信号の時間延長にも併用できます。
特 長
LED表示
  目線より低い位置に付いているので、弱視者に見やすく、晴眼者にもまぶしくない最適な明るさに設定されている。また、色を認識できない方は、点灯しているLEDの形で判断が可能(赤信号は長方形、青信号はマル)
誘導音鳴動機能
  早朝や夜間、誘導音が止められている時間帯でも、押しボタンスイッチにより、一定時間誘導音を鳴らすことができる。
ゴム製ポール
  横断歩道の手前に設置するため、ゴム製の特性である衝撃吸収性や復元性により、人や自転車に優しく、安全性の確保と壊れにくい設計が可能。また金属のように錆の心配がなく耐蝕性に優れている。
横断歩道を渡る手前に設置することで、渡った側の高い位置にある歩行者信号機が見にくい方(弱視者、高齢者、小さい子供)には目の前で確認して安心して渡れる補助装置です。高さ1163mmの白のゴム製のポールに赤・青のLED信号灯と押ボタンスイッチ、反対側にはスピーカーが付いています。赤・青のLED信号灯は目線より低い位置に付いているため見やすく、またスピーカーも1mの位置に付いているので耳元に近いので、現行の3.3mより聞き取り易くなっています。押ボタンスイッチは音響信号の停止時間に押すと音声が鳴ります。また青信号の時間延長にも併用できます。
   
現行の音響スピーカーを「超音波パラメトリックスピーカー」へ 辺住民への騒音を軽減しつつ、視覚障がい者が少しでも安全に横断歩道を渡れることを目標に「高齢者・視覚障がい者用LED付音響装置」の設置に加え、パラメトリックスピーカーの使用を推進しています。
周辺住民への騒音を軽減しつつ、視覚障がい者が少しでも安全に横断歩道を渡れることを目標に「高齢者・視覚障がい者用LED付音響装置」の設置に加え、パラメトリックスピーカーの使用を推進しています。
「超音波スピーカー」の特長
1. 音源方向がわかりやすい。
2. 音による安全な誘導ができる。
3. 横断歩道の中央(エスコートゾーン)方向に音声を流すことでエスコートゾーンの代用になる。
4. エリアがしぼれるため周辺住民への騒音が軽減できる。

新たな技術で。すべての交通弱者に「安全」を

Q: 開発のきっかけは何ですか?
A:

弊社の本業は配電資材の開発なのですが、2005年に事業推進室が発足しまして、本業とは別に柱になる事業を立ち上げることになりました。そこで骨伝導スピーカーや、マイナスイオン発生器、光触媒など、さまざまな製品の開発を手がけてきましたが、その一つが「高齢者・視覚障がい者用LED付音響装置」です。実は弊社では30年前から大阪府警に「音響ポール」として押しボタンスイッチとスピーカーが付いた黄色いポールを納めていました。「いつも見ていたあの黄色いポールはうちで作っていたのか」と、入社したときに知りました。そのポールについて、ロービジョンの方から「手前で信号が見れると助かる」とのご意見をいただいたのが開発のきっかけです。
ロービジョンの方にいろいろとお話を聞きますと、信号機を見つけるだけでも大変だそうです。歩行者信号機って、横断歩道を渡った上にありますよね。目の不自由な方にはいろいろな見え方があると思いますが、たとえば視野の狭い方だと、まず足元から横断歩道の端のラインをたどって、信号機の根本を探します。そこから、上に目線を移すんだそうです。そして見つけたら、信号が変るまで目から離さないでいて、青になったら、今度は足元を見ないといけない。こういった苦労をされているんです。このほかにも、誘導音が止められる早朝や夜間は、車の走行音などを頼りに横断しているという危険な現状もあります。晴眼者はまったく気付いていないですよね。話を聞くまで私もそうでした。

Q: 開発で苦労された点は何ですか?
A:
まずコスト面ですね。警察からは費用対効果を尋ねられます。結局この交差点に目の不自由な人は何人通るのかと。私はそういう問題ではないと思うんですけどね・・・。
ということで、できるだけコストをかけずに作らないといけないんです。
実施試験のために設置された「高齢者・視覚障がい者用LED付音響装置」
実施試験のために設置された「高齢者・視覚障がい者用LED付音響装置」
当時、LEDは高かったので、青を「○」(マル)、赤を「×」バツと「線」で表示していたんですが、ロービジョン者の方に実際見てもらうと「面」であるほうがわかりやすいという意見が出ました。さらに、色がわからない場合にも「形」でもわかるように、中を塗った「●」(マル)「■」(四角)にしました。また、弱視の方からは「点字に墨字も入れてほしい」と言われました。点字を読める人は少ないですからね。それに晴眼者も読めれば、道を尋ねられたときにすぐ答えられますよね。でもスペースが限られていますので、どのように略して表記するかなど、これから考えていかないといけません。機器展示会場で見ていただいた方からは「屋外でもちゃんと見えるの?」という質問をよく受けます。ですので、全国さまざまな屋外でデモをしています。沖縄では強い日差しのなかでもよく見えて好評でしたが、青森では「雪に埋もれたら見えない」との指摘を受けました。今後、設置場所の環境に合わせた対応も必要だと思います。

Q:

やっと警察庁に認められたそうですね
A:
そうなんです。6年かかりました。われわれメーカーの人間がいくら良いものだと言っても、安全性の効果が実証されなければいけません。そこで、交通心理やバリアフリーの学識経験者から成る委員会を立ち上げて検証を行いました。最初は盲学校の生徒さんに見ていただき、次に高齢者の方がたくさん集まる施設に設置して、2年間の調査を行いました。
その評価を分析した報告書を大阪府警に提出したところ、実際の横断歩道に一日だけ設置する許可が下りました。そこで行ったアンケート調査の評価も高く、今度は大阪府警から警察庁へ報告していただき、3年間の実地試験の許可を得ました。大阪市鶴見区鶴見警察署前交差点での設置試験では、毎年5、6件あった交差点での事故が0~1件に激変したんです。そして2012年5月に、ポールの色を白にして「盲人のための国際シンボルマーク」をつけることを条件に、警察庁から設置を認められました。 交差点名が書かれた点字板
交差点名が書かれた点字板
Q: 今後の目標を教えてください。
A:
小さいお子さんがいるお母さんに見ていただいたとき、「この位置にあると、子供にとっても見つけやすくて良いですね」と言ってもらえました。それまで高齢者と視覚障がい者しか意識していませんでしたので、目からうろこが落ちる思いでしたね。このようにまだまだ気付けていないことがたくさんあると思います。特定の利用者に限定せず、すべての交通弱者の声を聞く機会を増やしたいですね。
夜間でのLED点灯の様子
夜間でのLED点灯の様子
また、この事業に携わってから数多くのロービジョン者に会いました。そういった方々の後押しがあってこそ実現できまことですので、この装置が一ヵ所でも多く設置されるよう、各方面に働きかけていきたいと思います。呼ばれればどこでも行きますよ。これまで日本全国で展示会を行ってきましたが、あと二つだけ行けてない県があるので、まずはそこに行って「全国制覇」を果たしたいです。

  (記事/編集部・池田信孝)
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