光イオン化検知器PIDとは

PIDとは、Photo lonization Detectorの略称で、多種多様な有機化合物や一部の無機化合物に反応するブロードバンドセンサーです。

揮発性有機化合物(VOC)や炭化水素(HC)などの一般分類の化合物の検出に適しています。
PIDは感度が優れ、超低濃度(ppb:parts per billion)の化合物でもすばやく反応するため、生命に緊急の脅威をもたらすガスだけでなく、長期的に健康に悪影響を与える有毒蒸気からも作業者を保護します。


PID測定原理

PIDは何を検出するのか?
PIDは、イオン化エネルギー(IE)がランプの光子エネルギーより低いすべての化合物の測定を行います。(下図を参照)
RAE Systems社から提供されるランプは、9.8、10.6および11.7eVの各ランプです。





作業場でのブロードバンド有毒化モニタリング
最近まで、有毒VOCに対する「GO」または「No Go」の読み取り値を取得する低コストの唯一の方法は、MOS(金属酸化膜半導体)や爆発限界下限(LEL)センサーなどのブロードバンド有毒ガスセンサーを使用することでした。
これらのセンサーは、さほど感度が高くないため、許容暴露限界を大幅に超えない限り、ほとんどの有毒蒸気に対して正確な警告を出すことができません。例えば、ベンゼンの許容暴露限界は、高い発癌性のため、1ppmになっています。PIDでは0.1ppmのベンゼンまで簡単に測定できますが、MOSセンサーやLELセンサーは、100ppm以上での使用に最適で、このような低レベルを検出できません。

PIDの利点
・超高感度-信頼性が高いppbレベルの測定が可能
・有毒化学物質のリアルタイムモニタリング用に毎秒更新されるディスプレイ
・しきい値モニタリング-STEL(短時間暴露限界)、TWA(時間加重平均)、およびピークに関するリアルタイムの見極めやすいアラーム。 アラームは各設定条件に応じて変化
・適合性と作業シフト傾向分析用のデータログ
・イソブチレンによるすばやく簡単な校正

保護と検知の相違
従来からPIDは「検知」器と見なされており、特に、緊急出勤チームと浸入チームが海洋流出や空中放出の範囲を判断する際に使用するのが最適であると考えられていました。RAE Systems社のPIDは、「保護」モニターであり、化学物質の濃度を定量化し、作業者に危険な状態を警告します。他の用途としては、ジェット機燃料、ガソリン、溶剤などの可燃性ガスのPIDによるppmやppbモニタリングがあります。

化学物質の「有害混合物」における有害成分の測定
複雑な混合物内の特に有毒な成分の割合が既知の場合、PIDを使用してその成分を測定できますたとえば、ガソリンに1%のベンゼンが含まれており、ガソリン混合物全体に対するブロードバンドPIDの読み取り値が50ppm未満の場合、ベンゼンは0.5ppmの許容暴露限界(PEL)未満になります。

許容暴露レベル超過時の連続モニタリングアラーム

検知管などの他の方法は、ピーク発生のまさにそのときにサンプルが取得されない限り、濃度の瞬時値のみ表示し、リアルタイムアラームは出しません。RAESystems製PIDモニターは、継続的な検知機能と瞬時アラーム機能が備わっており、広範な化学物質についていつ暴露限界を超えたかがわかります。

限界を超えた場合、RAESystems製モニターでは、そのデータログ機能によって、そのレベルを超えた正確な時点を保存、呼び出し、「参照」できます。一方、検知管では、そのレベルを超えた時点、またはその超過がすべて一度発生したか、作業者のシフト期間中に発生したかを示すことできません。

RAE Systems製モニターのデータは、パーソナルコンピューターから即座にアクセスできます。ユーザーが暴露限界を超えた状況を作り出した原因を記憶している間に、その原因をユーザーに質問することができます。回答は、溶剤によるクリーニングや換気装置の障害など簡単なものかもしれません。このため迅速対応のPID、瞬時アラーム、データログ機能を搭載したRAESystems社のモニターでは、安全対策を即座に実施することができます。活性炭サンプリングなどの他の方法では、実験から結果を戻してもらうのに数日または数週かかる可能性があります。



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